ロケットの隠れ家でお茶会を

ドラマ・映画・演劇・漫画・ゲーム・小説等々、美味しいものを見つけては感想なども書き綴っています。

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『朧の森に棲む鬼』 感想

A間殿にお付き合いいただき臨んだ『朧の森に棲む鬼』観劇。
その天国から帰って来ました。身体だけは。
魂は未だに放浪中です。あの空気に酔うなというのが無理です。
私がいのうえ歌舞伎を観ていつも思うこと、それは――

こんなに素敵な劇団と出逢えた我が人生に、一片の悔いなし!!!

今回もまた、そんな気分にどっぷり漬けられましたよ。帰ってからというものCDをエンドレス再生し続け、パンフを見ては野波様の超絶美麗な写真に悶え、おまけで付いてきたカレンダーにうひゃひゃひゃな状態です。

とりあえず、感想に入る前に大阪松竹座の入り口前写真をば。
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― ― ― ― ―


【朧の森に棲む鬼】

(あらすじ)
いつともしれぬ昔。どこともしれぬ島国。
武力統一を狙うエイアン国と、それに対抗する山の民・オーエ国との長い戦が続く乱世。
いずれ王になるという野心を胸に秘めた一人の男・ライは、どんな嘘でも瞬時に仕立てあげるその口先と、弟分のキンタの腕っぷしを武器に世を渡り歩いていた。
辿り着いた地、そこは朧の森と呼ばれるいにしえの森。
突然ライの前に現れた森の妖――オボロ達は、その命とひきかえに、ライの望みを叶えると囁きかける。取引に乗ったライがオボロ達から受け取ったのは、己の舌先と同じように巧みに動き、真っ赤な嘘と共に真っ赤な血に濡れる魔剣「オボロの剣」だった。
欺瞞の刃が生み出す愛憎の悲劇。その果てにあるものは――


さて、ここから感想スタート!


今回の席は1階の15列目。なんと花道が超至近距離にあるという驚きラッキーな場所でした。おかげで役者さんが出退場する度に「ぎゃー! こっち来る! こっち来るよーーー!」と、心の中で叫びっぱなしでした。もう顔面血まみれ染さんが向かって来た時の迫力なんて洒落にならんての。

舞台の雰囲気はというと。
そこはかとなくスサノオⅢを彷彿とさせる朧の森と、暗黒街ラジョウの美術がお気に入り(ラジョウで綺麗なオネーちゃん達が踊りだした途端にテンションが上がる矢車とA間殿
毎回凝っているタイトル登場も健在。
真の姿を見せる朧の森と妖しく踊るオボロ達。
積み重ねられた髑髏の山と、迸る滝。
その光が射し込む滝自体が『朧の森に棲む鬼』という文字になってんの!
これこれ! この鳥肌が立つような演出……!
これぞ新感線!

で、物語の中身ですが。
とにかく、染さん演じるライが悪い悪い。でも天保の三世次と違うのは、結果的に悪を徹底できなかったがために自滅した所かな?(三世次はとことん悪の道を突き進んだせいで自滅したんだけど;
キンタが生きていた事に対して動揺するなど、奥底に不安定なものを抱えているせいで悪に徹しきれなかった、という造形は染さんに合っていたと思う。
全体通して衣装替えの回数がものっそ多い。二幕だけで何回着替えているんだという。
個人的お気に入りは検非遺使の時のと、帝になった時の衣装。紅と黒の組合わせは最強だぜ!
(ちなみに、ライの名前の由来は源頼光らしいですが、きっとlie(嘘)とかけているんだろうね)


サダヲさん演じるキンタはというと。前半はとにかく跳ねる走る歌うと、エネルギー全開で飛ばすお茶目キャラ。それだけに二幕でのライとの決別がつらいのなんの。最初から裏切られる予感はしていたけど、だからってそんなのはないぜライさんよぉーーー!(血涙

女性陣の中ではシュテンが一番のお気に入りです。鬼と呼ばれる山の民の長、しかも戦う女王というツボな設定と、小柄なのに加え凛とした顔つきがすっごく格好良い方でした。初めてライを手玉に取った人物でもありますし(本当はしっかり騙されていたのが惜しい;

ツナも格好良い女性だけど、ライに心を揺さぶられ弱い面も見え隠れしていたのが印象的なキャラクターでした。
そして聖子さん演じるシキブ。登場した時は「聖子さん可愛い~聖子さん可愛い~」と思っていたのに、その約10分後には「シキブ怖えぇぇぇぇぇぇ!」へと変わってました。
でもオオキミとの関係では、オオキミのあまりにも哀しい優しさに思わず涙が出そうに……
「シキブは浮かれ女だからね。好きなように恋をしたらいいと思うよ。これ、飲むから」って……ちゃんと全てを知っていた上でその言葉は哀しすぎるよオオキミ……(泣

古田さん演じるマダレは、久々に古田さんらしいギャグが見れて美味しい役でした。
登場シーンにはびっくらこいたがな;
ラジョウを仕切るだけあって彼も悪人には違いないんだけど、侠者であったがゆえにライと完全には相容れなかったというのが面白い。でも正直に言うと、例の刺青うんぬんの話では最初「やっぱりまだ裏あるんちゃう?」とか疑ってました;
何事もなく終わったということは、おそらく本物で間違いないんでしょうけどね。
う~ん、観ている内に嘘のやりとりのせいで事実も嘘に思えてくるから大変だ。

あと、粟根さん演じるウラベは髪型といいGJ棒といい、何を考えてあのデザインにしたのか激しく問い詰めたい。二幕冒頭であっさり退場してしまったので、もっと活躍して欲しかったなぁ。

総評としては、『SHIROH』や『吉原御免状』以来、新たに“ドラマ中心で魅せる舞台”として進化を続けていく新感線。それを実感できるお芝居であったと思います。
『リチャード3世』を下敷きにしたピカレスクロマンに、大江山の酒呑童子退治の要素をモデルとして織り込んでいるストーリー内容は勿論のこと、各人の思惑が交差し、立場が二転三転していく過程の描き方には本気で惚れます。
ライの嘘に翻弄され、追い詰められていく登場人物達。
窮地を脱していくにつれ、邪心を増大させていくライ。
しかし、弟分であったキンタまでも陥れた彼は以後、栄光へと駆け上がる一方で、確実に己自身を追い詰める階を築いていく事となる。

“自分自身を殺す時、それが己が命を森にさし出す時”という契約。

昇りつめた先で踏み台にしていった者達から復讐を受け転落し、自身の舌に等しいオボロの剣に貫かれ、もはや人でもない亡者と成り果てた彼が最後に騙ったもの――それはいずれ自分を喰らうはずだった朧の森そのものを己の流す血で真っ赤に染めあげ“喰らい返す”こと――それこそが彼の最後のペテンだったと。
って事でいいんでしょうかね;(オイ
ラストはあまりの迫力と衝撃で思考が吹っ飛んでいたので、もう一度見るなりしてちゃんと解釈したい所です。



うあ~、もう一度観に行きたい~
DVDが出るまで忘却に耐えなければならないので、必死で記憶を反芻してます。
語りたいことは尽きないほどあるけど、とりあえず今回はここまで。

最後に、パンフおまけのカレンダーでも。この閉じ方だけでもキュンキュンくる。
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― ― ― ― ―


地味に感想続きます。
といっても、後は雑感みたいなものですが。

今回の舞台を観てつくづく思ったけど、自分ってこういう同情する余地のない悪役が上り詰めていって、最後の最後に落ちていく話好きだよなぁ(苦笑
悪役が倒れる事に対して安堵するとか、悪役に感情移入して切なさを感じるとか、そういう訳ではなくて。何なんだろうなぁ……あのギラギラした感情と、全てが終わった後に残るぽっかりとした虚ろな気持ちは。

自分の場合、こてこての悪役よりどっちかというと兄貴肌なヒーロータイプのキャラに肩入れするパターンが多く、悪役で好きになったキャラの例を見ても、徹底的に外道まっしぐらなヤツってそういなかったりする。好きな悪役キャラは大抵何かしら、ヒーロー側とは相容れないけど似通った信念を持ってたりするし。
だからライや三世次みたいなタイプの主人公が中心となって動く善悪逆転ドラマって、観ててすんごくゾクゾクくる。何でこいつらはこんなに格好良いんだ……!という感じで。

一般的なヒロイックものの主人公が最後に死んだ場合に残る虚しさと、ピカレスクロマンの主人公が死んだ場合の虚しさって、全然別物だよね。

ついでに、染さんは色悪が似合いすぎ(笑
[ 2007/02/06 01:22 ] 演劇 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

矢車青(やぐるま・しょう)

Author:矢車青(やぐるま・しょう)
趣味の物書き。生まれも育ちも四国の土佐。創作小説サークル『モノクロアニマル』にて、本作ってイベント参加してたりもします。



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